hymnはその「火」という原始的な光をコンセプトにプロトタイプ作品として2019年にイタリア・ミラノで発表され、さらに2年の開発期間を経て、2021年、アンビエンテックより新たなアンビエント照明として製品化されました。
プロトタイプ時より引き継がれた、レンズの仕組みと光学に基づいた特殊な形状で制作されたアクリルパーツ。下部より光を投射すると屈折の効果によって、アクリルパーツの上部先端に光が浮かび上がります。その部材は繊細なアームによってバランスを取りながら立ち上がり、磁力というアナログ的でありながら、見えない力量を受けて繊細で不規則性を持った変容する光のテクスチャーを作り出します。
そのアクリルパーツを支える全体像は火を灯す伝統的な器具にインスピレーションを受けています。火を持ち運ぶことを可能した様々な器具は、火と人間との自由な関係性を築いてきました。hymnの幾何学的なフォルムは、私たちの生活空間に寄り添う柔らかなラインと削ぎ落としたエッジあるデティールで構成され、アンビエンテックが持つ技術力によって実現しています。光と人間の暮らしの関係性から生まれてきた様々な器具たちは火そのものを良く知るヒントとなりました。
このアンビエント照明が目指したのは火を写実的に再現、擬似することではありません。
「火」の存在を再解釈し、その根源に宿る魅力そのものを、私たちの日々の暮らしの概念が拡張していくような体験価値へと昇華させることにあると考えています。
私の感動的な記憶には常に光が伴っています。私が見たあの一本の蝋燭のように、hymnが放つ光が誰かの新しい情感を形作っていくことを願っています。